

時間がたっても渋みが出にくく、葉をつぎ足していけばずっと飲めてしまう。また、香りが強いので、出がらして薄くなっていても、それなりに味わえる。いずれにせよ、茶道家が聞いたら、ひっくり返りそうな入れ方である。大衆食堂では「これ、水?」ってくらい薄いさんぴん茶が出されることもよくある。しかしここは沖縄だ。広い心で飲んでほしい。はるか遠くに、ジャスミンのお花畑が見えてくるはずだ。見えませんね。また、聞き捨てならない情報だが、さんぴん茶には痩身効果まであるという。こうしちゃいられない。今すぐコンビニで買ってこなければ。私も学生時代、コンビニのさんぴん茶には大変お世話になった。月の食費が2000円と極貧なくせに大酒飲みという、男らしい女子大生の頃である。安い泡盛でも、コンビニで買ったさんぴん茶で割ると、10年古酒の味になった(気がした)。おいしすぎて度を越し、翌朝は二日酔い。これまたさんぴん茶で水分補給していた。他社に先駆けて発売を始めた『沖縄ポッカ』の広報担当は、こう振り返る。「沖縄独自の商品を作ろうと、さんぴん茶に目をつけました。なにせ県内では知名度100%でしたから」。しかし、一般的な飲み物だったのが災いした。「自宅でならタダなものを、わざわざ買っては飲まない」という声が多数上がったという。そこで発売開始から3年後、同社はテレビコマーシャルでのPRを始める。「チャッ、チャッ、チャチャチャ」という歌が、一度聴くと頭をグルグルまわって離れないCMだ。これが当たった。放映開始から、売り上げは右肩上がりに伸びた。ほかの飲料メーカーも、次々販売を始め、さんぴん茶は沖縄の県民食ならぬ「県民茶」にのぼりつめた。ところで、気になるさんぴん茶の痩身効果である。同担当者に聞いてみた。「うーん、そんなことはないんじゃないですか? 烏龍茶ならよく聞きますけどね」。考えてみれば、私はさんぴん茶をずっと飲んでいる。そのわりには……。わが身を見つめ直せばすぐわかることだった。悲しい。「ここ数年の清涼飲料水は、果汁からニアウォーター、さらに無糖茶へとシフトしています。さんぴん茶の爆発的な人気は、健康志向の流れにうまく乗ったものでしょう」。ジャスミンはもちろんハーブの一種で、精神をリラックスさせ、癒しの効果もあるという。疲れた現代人が、ため息まじりにさんぴん茶を手に取る。黄色の缶が並ぶさまは、コンビニに現れた春のお花畑のようだ。沖縄旅行のときは沖縄でしか食べられない料理を楽しみたいところである。
ほとんどの温泉施設では、多少なりとも天然温泉を引き込んでいれば、その後、何度も循環・殺菌し、場合によっては水道水を加えていても、「温泉」と謳っている。しかし、それを「本物の温泉」と呼べるかというと、おおいに疑問だ。そこで、温泉の見極め方に触れる前に、私なりに「本物の温泉」の基準を定義してみた。@温泉に源泉の成分がしっかり含まれているただの水道水や井戸水、河川の水を沸かして「温泉」といっているのは論外だが、天然温泉といえども、水道水を加えて温泉を薄めたりすれば、当然ながら源泉の成分は薄まっている。A源泉からお湯を引き込んでいるが、流しっぱなし(かけ流し)で、浴槽からあふれたお湯は外に捨てているあふれたお湯を何度も濾過・殺菌して使いまわす循環方式を採用していると、源泉の成分とは似ても似つかないお湯になってしまう。B消毒をしなくても温泉の泉質が保たれている循環方式を採用していなくても、源泉地周辺の環境悪化などで、温泉に殺菌・消毒を施さなくてはならないケースも出てきている。これは衛生上やむをえない処置だが、塩素消毒することで、温泉の成分構成が変わり、源泉のもっていた温泉効果が弱まってしまうことになる。C浴槽や洗い場、天井、壁の清掃が行き届いている入浴施設や設備をつねに清潔に保つことは、衛生面からも当然のことであって、それを怠っているような温泉には入浴したくない。D源泉の管理がきちんと行われている源泉は一日の時間帯や季節によって湧出量や温度が微妙に違ってくる。そのことを頭に入れてきちんと管理しないといけない。源泉の管理がきちんとしている旅館やホテルは安心である。E飲泉のコップが使いまわしでない金属のくさりをつけたコップの使いまわしは、他人の感染症がうつる恐れがあるので危険だ。配慮の行き届いた施設なら、そのあたりの衛生管理もしっかりしているはず。本来なら、一回ごとに使い捨てる紙コップが理想ではある。温泉の効用のひとつに、転地療養による心身のリフレッシュ効果がある。が、もうひとつ、温泉の重要な要素に健康増進効果がある。これこそが温泉がもつ最大の魅力だろう。そんな健康への効果は、温泉成分がしっかり含まれていることが条件で、それが期待できるのは「本物の温泉」だけなのである。なお、丹後半島にある夕日ヶ浦温泉は以上に紹介したような「本物の温泉」である。